『Being Julia/華麗なる恋の舞台で』鑑賞
イギリス俳優は出演作を日本で見つけるのが難しいことが多いのですが、ショーン・エヴァンスは珍しくも日本でメディア化/上映された作品が多いようです☆
サマセット・モームの小説「劇場」を映画化した作品2005年日本公開作品『Being Julia/華麗なる恋の舞台で』をDVDで鑑賞。
※ネタバレ注意!
主演はアネット・ベニング、ジェレミー・アイアンズ、マイケル・ガンボン、ショーン・エヴァンス。監督はイシュトヴァン・サボー。
アネット・ベニングはこの作品で2004年ゴールデングローブ主演女優賞を受賞。
【ストーリー】
1938年。満たされながらも変化のない生活にうんざりしていた人気女優ジュリアは、親子ほど年の違う青年トムと出逢い、恋に落ちる。それもつかの間、トムは若い女優と恋に落ち、ジュリアは振られてしまう。しかし、その若い女優をジュリアの舞台に出して欲しいというトムの願いを聞き入れ、現実を受け止めたかに見えたジュリアだったのだが…。
戦争が始まる直前のロンドン。Shaunが演じるのは、主人公ジュリア(アネット・ベニング)が恋に落ちるアメリカ人青年トム・フェデルトン。野心溢れるトムは、ジュリアの若い恋人となって彼女の人脈などを足掛かりにロンドンで成功しようと企んでいます。
けれど、トムはジュリアが開いてくれたパーティで知り合った若い女優の卵シビルに恋し、シビルをジュリアの新しい舞台に出してくれるようにジュリアに頼み、シビルとの結婚まで考えるものの、したたかなシビルはジュリアの20年来の夫で劇場経営者のマイケルとも不倫をしており、最後にジュリアが仕掛ける痛烈などんでん返しでいたたまれない想いをさせられることに…笑
ネタバレ注意!『Being Julia/華麗なる恋の舞台で』感想
当時24歳のShaun。お肌ツルツル!演劇学校を卒業した2年後、2本目の作品なのでまだ初々しいです。
アネット・ベニングはベッドシーンでもさすがに最低でもガウンは着ていますが、Shaunは上半身は脱いでいることも多く、一糸まとわぬ後姿もv シビルとのベッドシーンは、2人も若者だからかどっちも脱いでいます。
アメリカ人の役どころなので、発音はアメリカ英語。weeが分からないなど、アメリカ/イギリスネタもちょっと散りばめられていて。
それにしても、アネット・ベニングとジェレミー・アイアンズ、そしてその他サブキャラも実力派が揃っているので見応え満点。所々で大爆笑、ちょっとしんみり、また大爆笑。
順風満帆なのにどこか満たされない生活を送っていたところに突然現れた美形青年Tomにのぼせ上がるジュリア。若いツバメを得て、見た目年齢は10歳くらい若返ったと言われたり、毎日立つ舞台でも今日の演技は最高だと言われたり。恋する乙女(?)はかくなりけり、を見せます。
Tomを別荘に連れて行ったはいいものの、自分の息子と遊びまわるTomに「自分を構ってくれない!」とキレてしまうあたりも、恋する乙女(笑)
長年の友人マイケルは、ジュリアが「新しい劇」として自分とTomの恋の話をした時に「彼女は自分から彼に愛してると言ったら終わりだね」とシビアなアドバイスを。そのアドバイスがあったにも関わらず、“I Love You”と言わずにいられなかったジュリアは、恋に狂ってdesperateな乙女。
けれど「母親ほどの年の女と寝るわけないだろ!」とシビルに言えるくらい気持ちが離れていたTomは、ジュリアが貢いだカルティエの時計やシガレットケースを「返す!金も返す!」と残酷なほぼサヨナラ宣言。とはいえ、しばらく経つと「お金がなくてまだ返せない…」と泣きついてくる計算高いorしたたかなツバメでもあります。
ジュリアが涙を流して「私には本当の友人が少ないの。お願い、今までどおりでいて?」と懇願の演技をすれば、「もう会うのはやめよう」と言い出した男だってすぐにコロリとほだされる。とりあえずTomを入れて2人ほどそうやって「お友達継続」を可能にしてきたジュリアは、けれど「こいつもか…」と実はTomをかる~く軽蔑し始めていたりして…
20年連れ添い、燃え上がるような激しい熱情はないものの、互いに愛人がいても「キーッ!」と罵り合わない、理想的な夫婦のジュリアとマイケル。
どれだけ理想的なんだ、<洗練されて>るんだよ、とあまりの現実離れ感に苦笑するしかないのですが、それでも、一応相手に愛人がいること自体は微妙にムカつくのか、それともTomだけでなくマイケルまで取ろうとする尻軽女にムカついたのか、シビルを新しいお芝居の主演(?)に据えたジュリアが舞台上で放った大どんでん返しの一幕が、それはそれは見事な場外ホームランで、美貌も人気も演技力も伊達じゃぁなかったと納得する出来。
「母さんも父さんも、家でも演じてる」、「僕はそんな世界には入りたくない」と痛烈なことを言ってのけた息子ロジャーもまたいい味出してます。シビルに二股かけられていたことを舞台上で曝露され、いたたまれず席を立とうとしたTomを止めるところなんて、拍手喝采ものw 困ったShaun as Tomももちろん見どころ。
久しぶりに「これ最高!」と両手を叩いた作品でした。
それにしても、Shaunはもちろんとして、ジェレミー・アイアンズがめちゃくちゃカッコいいですよ!渋いですよ!!Shaunが出てこないシーンではジェレミー・アイアンズにうっとりしてしまったではないですか。
さらにまた良いのが、脇を固める共演者達。
「Doctor Who」11代目ドクターのマット・スミスだろうか…と本気で疑ったエヴィー役のジュリエット・スティーヴンソンさん、すみません。だって、だって…似てるんですものっ!でも、舞台女優でローレンス・オリヴィエ賞主演女優賞を受賞されている、正当な実力俳優です。失礼なことを抜かしてごめんなさい。
25年ほど一緒にいるエヴィーとジュリアは、主従関係といえどももう対等で、お互いぱっと聞いた感じではすっごく品の悪い言葉を投げつけあうのですが、それが2人の儀式みたいになっているところもあり、心底信頼し合っているのがものすごく伝わってきます。
ジュリアを女優に育て上げたジミー・ラングトンを演じるのは、マイケル・ガンボン。実際にはもう鬼籍に入っているキャラクターですが、ジュリアの中ではまだ生きているように彼女に色々な演技のアドバイスを。シビアなことを言いますが、彼もまたジュリアをものすごく大事にしているのが伝わってきて、ほのぼのとさせられます。
チャールズ卿役のブルース・グリーンウッド。出演作はほとんど知りませんが、ジュリアを真の意味で支えている友人の1人。びっくりな告白があって、さらにジュリアとの距離が縮まった感じ。ジュリアの大どんでん返しに拍手喝采、溜飲を下ろす姿にこちらもスッキリ!
ドリー役のミリアム・マーゴリーズは、英国映画&TVではよく見る顔です。ハリー・ポッターシリーズにも出ていました。
主演は眼福、共演者も文句なし。映像は美しく、ストーリーもよい。もっと世の中に広めたい作品だなぁと、今更ですが思います。
Shaun、役者デビュー2作目でこんなに豪華な実力派俳優達と共演って、すごいことだったのでは…。初々しいけれど、野心満載の美男子がとっても似合っていたしハマっていたと思います。
公式サイト(US):Being Julia
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